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横井先生の記事

日本国憲法改正について 5

憲法9条1項の戦争放棄や平和主義は、今や世界中の国々の憲法に謳われており、普通の国の一般的な常識です。

多大な混乱を引き起こし続けているのは、9条2項「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」の部分です。

 

自衛権すら否定したと主張する護憲派もいますが、独立国家が自衛権を持つことは当然のことです。下記の憲法制定の経緯に鑑みても1項の目的を達成するため、つまり国際紛争を解決するための戦力不保持や交戦権を否定したと解釈すべきことは明らかです。

同項を改正して不毛な議論に終止符を打ち、名実ともに日本も普通の国になるべきなのではないでしょうか。

 

マッカーサーは、1946年(昭和21年)2月3日、GHQ民政局長ホイットニーに「マッカーサー3原則」(マッカーサー・ノート)を示し、日本国憲法草案を作成するよう命じました。その第2原則。

「War as a sovereign right of the nation is abolished.

Japan renounces it as an instrumentality for settling its disputes and even for preserving its own security. ……

No Japanese army, navy, or air force will ever be authorized and no rights of belligerency will ever be conferred upon any Japanese force.」

邦訳すると

「国家の主権としての戦争は廃止される。

日本は、紛争解決の手段としての戦争だけでなく、自国の安全を維持する手段としての戦争さえも放棄する。……

日本が陸海空軍を保有することは、将来ともに許可されることがなく、日本軍に交戦権が与えられることもない」

つまり、マッカーサーは当初、日本の自衛権を否定するつもりでした。

 

しかし、2月12日に完成したGHQ草案では、

「国民ノ一主権トシテノ戦争ハ之ヲ廃止ス他ノ国民トノ紛争解決ノ手段トシテノ武力ノ威嚇又ハ使用ハ永久ニ之ヲ廃棄ス

陸軍、海軍、空軍又ハ其ノ他ノ戦力ハ決シテ許諾セラルルコト無カルヘク又交戦状態ノ権利ハ決シテ国家ニ授与セラルルコト無カルヘシ」であり、

「自国の安全を維持する手段としての戦争さえも」の部分が削除されています。

民政局運営委員長ケーディスが自衛権を認めないのは現実的ではないと削除を主張し、マッカーサーがこの修正を黙認したとされています。

 

そして6月25日に衆議院に上程された政府案の9条2項は、

「陸海空軍その他の戦力は、これを保持してはならない」でした。

これに芦田均(後の首相)が委員長を務める小委員会が「前項の目的を達するため」の文言を入れる修正案を出し、成立します。

自衛のための戦力の保持が許されることを明確にしたのです。

 

ところが、この芦田修正に極東委員会が反応し、文民条項を要求します。

そこで、貴族院における修正により、66条2項「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」が追加されることになったのです。

 

 

自衛隊は、「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする」(自衛隊法3条1項)とされ、立派にその任務を果たしています。

英語表記はこれまでもずっと「Japan Self-Defense Forces」、邦訳すれば「国防軍」です。

 

日本を軍事国家にするためではなく、現実に即したものにするための憲法9条の改正が必要です。

私は、心から日本のそして世界の平和を願っています。

(横井盛也)

 

※国立国会図書館の電子展示会「日本国憲法の誕生」のウエブサイトで憲法制定過程における数多くの貴重な資料が公開されています。

http://www.ndl.go.jp/constitution/

 

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統計学で誤りが判明した野球の打順の常識

野球の打順のセオリーは概ね次のとおりなのだと思います。

1番:足が速くて出塁率が高い。

2番:送りバントが上手く、進塁打が打てる。

3~5番:打力のある選手、特に4番はホームランを打てる長距離砲。

6~8番:上位打線に入れなかった打者。

9番:打撃が期待できない投手

 

ところが、統計学的には、これが誤りなのだそうです。

東海大学理学部情報数理学科の鳥越規央准教授がセイバーメトリクスという統計学的手法を用いて最も高い得点が期待できるオーダーを分析したところ、「最強打者は2番、もしくは4番に置く」、「1番・3番は出塁を心掛け、2番・4番は出塁だけでなく、長打が打てる選手を配置する」、「1番に足の速い選手を置く必要はない」、「単打が多く足の速い打者は下位に並べる」のが最適解になったというのです。

 鳥越准教授の著書「本当は強い阪神タイガース――戦力・戦略データ徹底分析」(ちくま新書)の受け売りです。

 

これまでは、1番が塁に出て、2番が送って、3~5番がヒットを打って走者を還すという夢のシナリオを描いていただけで、もし1番が出塁しなかったらとか、1~5番で得点できなかったら、といったことに目を向けない空想的なオーダーに過ぎなかった、ということではないでしょうか。

鳥越准教授は、前記著書の中で2012年のデータ等を基に2013年の阪神タイガースの期待得点値が最も高くなるベストオーダーを紹介しています。

「鳥谷→福留→新井良→西岡→新井貴→マートン→大和→藤井→投手」

少し意外でした。

 

5月9日現在、阪神は巨人と2.5ゲーム差の2位。

チーム打率、チーム防御率はセ・リーグで1位です。

和田監督が上記の本を読んでオーダーを組めば、もう「鬼に金棒」、いや「トラに牙」です。

 

なにはともあれ、今年こそ阪神優勝や! 頼んまっせ和田さん。

(横井盛也)

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「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」 (村上春樹著・文藝春秋)

お気に入りの静かな音楽を聴きながら展覧会で名画を鑑賞している。そんな気分にさせるほど作品全体に色と音が溢れています。

単純明快で何の捻りもないストーリーでありながら、美しく内省的で、人が生きるという行為の有り様をどこまでも率直に、繊細に、立体的に表現しています。

色や音や形といったものと無縁の精神世界をこれほど見事に心象風景として具現化し形象できる作家は村上春樹を措いて他にはいないでしょう。

今回も主観的で抽象的なハルキワールドに嵌りました。 ハルキストとして納得の一冊です。

 

乱れなく調和する親密な空間は永遠には続きません。

世の中は常に動き続け、時が人を変えてゆきます。

調和的空間が弾け飛び、深い森に迷い込んでから16年。

36歳になった「多崎つくる」は、心の深奥に仕舞いこんだ傷の理由を知るための”巡礼”の旅に出ます。

アオとアカ、それにフィンランドにいるクロ。

今はそれぞれの人生を生きる高校時代の友人との再会を通して、たった一人色彩を持たない「つくる」は気付きます。

「すべてが時の流れに消えてしまったわけじゃないんだ」と。

 

「記憶をどこかにうまく隠せたとしても、深いところにしっかり沈めたとしても、それがもたらした歴史を消すことはできない」と語り、それがとても危険なことだと忠告する沙羅の言葉が作品のテーマを象徴しています。

16年の歳月を経て変わるものと変わらないもの、消えていくものと消えずに残るもの。「つくる」の心を通してこれらを描くことでハルキは、時の流れに対してあまりに脆く崩れ去る友情の儚さ、それと裏腹な関係にある友情の尊さや美しさを表現したかったのだと思います。

 

5つの方向から来たベクトルが高校時代に時空線を交え、その後、否応なくそれぞれ定められた方向に散っていきます。

人生を歩んで行くなかで、選択の余地などほとんどありません。

(アカが新人研修で、ペンチで剥がされるのは足の爪がいいか手の爪がいいかを選ばせるエピソードは象徴的です。)

しかし、絶妙な調和を記憶の深奥に沈めたとしても、時空線が交わった美しい歴史は変わりません。

お互いを傷つけるのも、そしてそれを癒すのも友情です。

アカ、アオ、クロとそんな関係で結ばれている「つくる」を羨ましく思います。

ひょっとしたら「つくる」は色彩を持たないのではなく、無数の色が交わってできた自然光の透明なのかもしれません。

 

シロやグレイやグリーンについて最後まで不明確なことが読後の爽快感を阻害しているようにも感じますが、それがかえって妙な余韻をもたらして効果的に作用しているというべきでしょう。

ふわふわとした浮遊感、雲をつかむようなあやふやさが読者の心を惹きつけてやまないハルキ文学の真骨頂なのですから。

(横井盛也)

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ショボ過ぎる簡易裁判所の建物

主戦場は事務所から徒歩1分の大阪地方裁判所(同じ敷地に大阪高等裁判所と大阪簡易裁判所もあります)なのですが、年に何回かは方々の簡易裁判所に出かけます。

先日も調停事件で某簡易裁判所に行ってきました。

私の知る限り、どこの簡易裁判所もよく似た建物で構造もほぼ同じなのですが、それが実に小さくてショボいのです。

たいがいは隣に区検察庁があり、こちらも貧相です。

地区の公民館か集会所といった感じで威厳も何も感じられません。

看板がなければ通り過ぎてしまいそうで、毎度到着すると拍子抜けしてしまうのです。

「えっ、これが裁判所?」

 

どこも過払い請求の案件で繁盛した数年前とは比較にならない程、今は閑散としているようです。

私が某簡易裁判所に行った日の午後には、調停が2件しか入っていないようでした。

 

比較的軽微な事件を対象とする簡易裁判所は、一般市民の利便性を考慮し、全国に438か所(大阪には12か所)に設置されているのですが、簡裁判事の多くは1人で複数箇所の裁判所の担当を掛け持ちしており、毎日開廷されているわけではありません。

交通機関の発達した大阪に関して言えば、12か所も必要なのか多少疑問で、個人的には、統廃合して立派な建物にした方がよいと思うのですが…

 

建物があまりに貧相で、到着時には「解決するの?」と不安を覚えるのですが、立派に機能を果たしています。

某簡易裁判所での調停は、調停委員の尽力で無事1回で当方の思惑通りの結果で決着がつきました。

(横井盛也)

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少子高齢化の問題を一気に解決する方法

漫画「サザエさん」に出てくる磯野波平さんが54歳と知って驚きました。

どう見ても70代後半でしょう。

私と5つしか年が離れていないなんて信じられません。

一昔前は、55歳で定年を迎え、その後は隠居ということだったのでしょう。

http://www.fujitv.co.jp/b_hp/sazaesan/sazaesan_cast.html

ちなみに私はいつも30代前半に間違われます。(#^.^#)

 

少子高齢化が急速に進み、社会に様々な問題を引き起こしています。

今後ますます問題は深刻化することでしょう。

問題解決のためには、ズバリ高齢者を減らすほかないと思います。

 

別に怖いことを考えているわけではありません。

「人口の上位20%を高齢者とする」と定義を変えればよいのです。

そうすれば全人口に占める高齢者の比率はいつの時代でも一定です。

 

70歳でも80歳でも元気な人は本当に元気です。一昔前の70歳、80歳とは比較になりません。

一律に65歳以上を高齢者とするとか、75歳以上を後期高齢者とするなど年齢で定義するから問題が起きるのです。

人口構造がいびつなのは、時代の試練です。

試練を乗り越えるためには、高齢者の定義そのものを変えるほかありません。

(横井盛也)

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