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横井先生の記事

プロ野球の飛ぶボール――あえてNPBを弁護する

日本野球機構(NPB)がプロ野球で使う「統一球」を今季から飛びやすい仕様に変えていたことを公表していませんでした。

飛ぶボールへの変更がわかっていれば、ホームランバッターを揃えるなど各チームの編成も変わったはずです。

変更を否定し、メーカーに口止めまでしていながら、コミッショナーが変更自体を知らなかったという点に関しては、弁護のしようがありません。

機構のコンプライアンスやガバナンスには問題があったのでしょう。

事前に公表していれば何の問題もなく、むしろ歓迎されたはずと思われるだけに残念でなりません。

 

でもマスコミは騒ぎ過ぎではないでしょうか。

NHKがニュースウォッチ9のトップで長々と伝えなければならないようなニュースなのでしょうか。

会見で述べた「不祥事とは考えていないので辞任はしない」との文言を殊更に強調し、加藤コミッショナーが大悪人であるかのような印象を与える報道に違和感を覚えたのは私だけではないはずです。

 

そもそも「統一球」は、加藤コミッショナーの肝煎りで一昨年から導入されたものです。

それまでは、球場によって使用するボールが異なっていたのです。

公平性に問題があるといわれながら放置されていた問題を解決したのが加藤コミッショナーなのですから、その功績は極めて大きいといえるでしょう。

今回のNPBの対応が批判されるのであれば、3年前までプロ野球のボールが統一されていなかったことの方がより批判されてよいはずですし、統一されていないことの問題点を指摘してこなかったマスコミも批判されてよいはずです。

 

ところで、飛ばない統一球になってこの2年間、しらけた試合が増えてしまいました。

「0対0」の引き分けとか「1対0」の試合なんて、大半が投手と捕手のキャッチボールに過ぎません。

野球は点の取り合いに醍醐味があり、ボールは飛べば飛ぶほど面白くなるのだと思います。

NPBはファンのことを考え、プロ野球の発展のために反発係数を上げたのでしょう。その動機に不純な点はありません。

 

今回の件の批判はこのくらいにして、今度は事前に公表の上で、反発係数をドーンと上げたガンガンに飛ぶボールに変更するということでいかがでしょうか?

(横井盛也)

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外れ馬券の経費算入――検察が控訴

大阪地検が外れ馬券の購入費の必要経費算入を認めた大阪地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴したとのこと。

課税制度の根幹にかかわる判断ですから、控訴は当然のことだと思います。

 

「外れ馬券を必要経費に算入できる」と地裁が判断したのは、今回は、競馬予想ソフトに独自の40項目の条件を設定して馬の組み合わせや購入額を決める計算式を作成し、毎週末、中央競馬のほぼ全レースの馬券を3年間で約28億7000万円も自動購入していたという特殊なケースだったからです。

つまり、地裁は、今回のケースに限り、競馬の配当を偶発的な一時所得とはせず、むしろ先物取引などに近いという実態を捉えて雑所得と判断したということであり、その判決の射程は決して広いものではありません。

 

ところが、どの程度であれば雑所得になるのか、判決の射程判断はそう簡単なものではありません。

「外れ馬券は必要経費に算入できるか?」

答えは「YES」でも「NO」でもありません。

法律の条文や判例は、一問一答ではありません。

様々な事情が一つ一つの事件の背景にあるのです。

 

いっそのこと、競馬の配当を宝くじのように非課税にするよう法改正をした方がよいのではないでしょうか。

税収を確保する必要があるのであれば、配当率を下げれば済みます。

少なくとも、現在のように申告に任せるのではなく、配当金払戻時に税金を差引くというように法改正をすべきです。

 

現行の申告納税制度は複雑に過ぎます。

性善説に基礎を置くならば、できるだけ単純明快な制度を目指すべきだと思います。

 

参考までに、↓↓↓

http://www.law-yokoi.com/blog/?p=683

(横井盛也)

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司法試験「5年で5回」――甘すぎる座長試案

政府の「法曹養成制度検討会議」の会合で、司法試験の受験回数制限を法科大学院の修了後5年間で3回から5回に緩和する座長試案が示されたとのこと。

法曹養成制度そのものが崩壊しつつある中、小手先の改革で何とかなるとでも考えているのでしょうか。

驚きです。現状に対する認識が甘いというほかありません。

 

受験回数制限を設けることについては、以前にブログで書いたように大賛成です。

http://www.law-yokoi.com/blog/?p=543#trackback

http://www.law-yokoi.com/blog/?p=568#trackback

http://www.law-yokoi.com/blog/?p=585#trackback

3年間で3回くらいの方がよいと思いますが、5年間で5回に緩和したとしても、それはそれでよいでしょう。

今はそんな議論が吹っ飛んでしまうほどの緊急事態です。

 

法曹を目指す若者が急減し、法科大学院の人気が急落しているのは、弁護士が既に飽和状態で、司法試験に合格しても就職できる保証がなく、安定的な収入が見込めないからです。

旧司法試験は2~3%程度の合格率でしたが、法曹を目指す人は数多くいました。

現行制度の欠陥は、すべて司法試験の合格者数が不適正であることに端を発しているのだと思います。

 

ペーパーテストが得意であれば弁護士の仕事ができるなどというのは幻想に過ぎません。

ボスの下で年がら年中、朝から晩まで仕事を学んで一人前の弁護士になっていくのです。

最低限、法曹資格を得た弁護士志望者がボス弁の下で安定した収入を得ながら修業ができる程度にまで合格者を絞るべきです。

法科大学院へ支出する補助金があるなら、司法修習生への給費制を復活すべきです。

 

政治的責任を負わない有識者会議や諮問会議が国の制度の根幹にかかわる事項について実質的決定権を握っていることに疑問を感じます。

(横井盛也)

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英語教育の強化は必要ですか?

仕事で英語を使う機会はほとんどありません。「私は英語が苦手です」

ひがみかもしれませんが、英語なんか喋れなくても生きていけます。

裁判所法74条には「裁判所では、日本語を用いる」とあります。

 

政府の教育再生実行会議は、国際化に対応するため、現在小学校高学年で行われている英語教育について、正式な教科にすることや開始学年を引き下げることなどを求める提言案をまとめたとのこと。大学の国際化に対応するため、入試や大学卒業認定にTOEFLを活用することなども検討されているようです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130518/k10014667531000.html

 

確かに英語ができる人はかっこいいと思いますし、英語ができれば仕事の幅が広がったかもしれません。

でも、英語ができても何の役にも立たない時代が近い将来訪れるのではないか、と思うのです。

 

先月、コンピューターの将棋ソフトがプロ棋士に勝ちました。

衝撃だったのは、将棋ソフトが勝ったことではなく、ソフトが「機械学習」という技術を手に入れたことです。

次の手の結果をしらみ潰しに検索して指し手を決めるのではなく、ストックされた過去のプロ棋士の棋譜を基に指し手の価値を認識し、さらにその評価を少しずつ自動的に調整する手法です。

この「機械学習」によって、翻訳、画像認識、音声合成などの分野でコンピューターの精度が飛躍的に向上しています。

そう遠くない将来、日本語で話をすれば、ニュアンスの細部に至るまでほとんど正確に英語で話をしてくれる高性能の機器が開発されても不思議ではありません。

 

フランスには「仏語使用法」があり、公共の場でのフランス語使用を義務付けており、外国語による授業は語学学校や外国人向け学校、外国人教員の授業などの例外に限定しています。

http://www.netlaputa.ne.jp/~kagumi/prive/toubon.html

これは、ちょっとやり過ぎだと思います。

フランス国内でも、現在法改正について議論が沸騰しているようです。

 

グローバル化に対応するため英語教育の強化も必要なのでしょうが、行き過ぎはよくありません。

ほどほどにして国語教育の充実にも力を入れるべきだと思うのですが、いかがでしょうか?

(横井盛也)

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裁判員裁判から除外。プロの裁判官は安全なのか?

暴力団員が社長を銃撃した事件で、検察が「裁判員に危害が及ぶおそれがある」として、裁判員裁判を行わず、裁判官だけで審理をするように裁判所に請求したとのこと。請求が認められれば、全国で2例目となるそうです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130514/k10014564691000.html

 

裁判員裁判法3条には、裁判員等の「生命、身体若しくは財産に危害が加えられるおそれ又はこれらの者の生活の平穏が著しく侵害されるおそれがあり、そのため裁判員候補者又は裁判員が畏怖し、裁判員候補者の出頭を確保することが困難な状況にあり又は裁判員の職務の遂行ができずそれに代わる裁判員の選任も困難であると認めるとき」は、裁判員裁判の対象から除外することができると規定されています。

 

裁判員に危害が及ぶおそれがあるというなら、裁判官にも、検察官にも、そして場合によっては弁護人にも危害が及ぶおそれがあるというべきです。

一般市民である裁判員を危険にさらすわけにはいかないが、プロの法曹にとっては、危害が及ぶおそれを職業的リスクとして甘受すべきということなのでしょう。

 

裁判員裁判法1条には、「国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続きに関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ、…」とあります。

上記のような事件を裁判員裁判で審理すれば、危害が及ぶリスクを抱えながら日々仕事をしている裁判官らに対する国民の信頼の向上につながると思うのですが…。

 

ただただ犯罪のない安全で平和な世の中になることを祈るばかりです。

(横井盛也)

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