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連続ドラマW 「推定有罪」(全5話)

DNA鑑定技術の進歩により殺人犯として12年間服役をしていた男の冤罪が証明されたところからドラマは始まります。

罪を着せられた篠塚(國村隼)が失った12年の歳月の重みだけではなく、再審で無罪を証明した石原弁護士(黒木瞳)、週刊誌記者の加山(仲村トオル)、12年前に捜査を担当した浅田刑事(陣内孝則)、篠塚の娘の美保(本仮谷ユイカ)、被害者の姉の弘子(ミムラ)ら冤罪事件に様々な立場で関わった人々の苦悩や葛藤を克明に描いた社会派ヒューマンドラマです。

 

犯人とされた人のみでなく関係した多くの人の人生を狂わせる悲劇の詳細を描くことで冤罪事件を生むことの罪深さを訴えたかったのだと思います。

その意欲は買います。

でも、過剰な物語や演出によって、その意図が空回りしている印象がぬぐえません。

 足利女児殺人事件を題材としたことが余りにも明らかです。

フィクションというには中途半端で、登場人物に素直に感情移入することができませんでした。

 

冤罪事件を生むきっかけとなったスクープ記事を書いた週刊誌記者を主人公とし、検証記事の取材を軸にストーリーを展開するという構想にそもそも無理があったと思います。

犯人とされた者の親族に及ぼす影響をも描こうとした点は好感が持てるのですが、なぜ篠塚の娘が、無実の証明された篠塚に会いたくないのかよく理解できませんでした。

被害者遺族の執念深さは異常過ぎて共感できませんし、石原弁護士(黒木瞳)の物の考え方、活動の仕方にも同業者として反感を覚えます。

 

とはいっても、現実の世界では、ドラマの題名のとおり「推定有罪」がまかり通っています。

逮捕された段階から容疑者として実名で報道され、「疑わしきは被告人の利益に」という理念は踏みにじられています。

(警察や検察が被疑者名を発表するなど本来あってはならないことです)。

無実の者を処罰することは、真犯人を処罰しない以上に社会的な害が大きいのだ、という真理を何度でも再確認することが必要です。

そんな意味で、一見する価値は十分にあるドラマだと思います。

総合評価はやや厳しめに ★★☆☆☆(星2つ)です。

(横井盛也)

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