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BIGマンは詐欺師か? 宝くじと競馬の課税

 

 

 

なかなかお金が貯まりません。どうしたらいいですか?

額に白星、中央にBIGの文字の赤い覆面BIGマンが人生相談に答えています。

「6億円くらい一気に貯めようと思ったら、BIGを買うしかないよね。」

質問と回答がかみ合っていないような気がしますが、BIGマンのいうとおりです。

宝くじは非課税なので、BIGで当選すれば6億円が貯まります。

 

街頭でティッシュとセットで貰った掌サイズの小冊子「6億円当せんデータ集」には、当選者の購入日の天気、購入曜日、購入時間帯の集計なども掲載され、「ま、結論を言うと、とにかく買わないと当たらないんだけどね。」とBIGマンが微笑んでいます。

射幸心を煽るのは問題だとは思いますが、余りにバカバカしすぎて詐欺だとか誇大広告だとかいう気にはなれません。

怪しげではありますが、BIGマンは詐欺師ではありません。

 

話変わって、競馬で3年間に計28億7000万円分の馬券を買って、うち約1億3000万円分が当たり、払戻金は計約30億1000万円也、というケースの所得税法違反事件が大阪地裁で審理されているとのことです。

 

競馬の払戻金は「一時所得」というのが国税庁の見解です(基本通達34-1)。

そうであれば、総収入金額から控除できるのは、「その収入を生じた行為をするために支出した金額」(所得税法34条2項)に限られ、その一時所得の額の2分の1を課税標準として(同法22条)、税額が計算されることになります。

検察側はこの見解に従って、所得税額を約5億7000万円としているのに対して被告人側は、実際の儲けは購入総額28億7000万円を控除した約1億4000万円に過ぎないと無罪を主張しているようです。

「営利を目的とした継続的行為から生じた所得」であれば雑所得として購入総額を必要経費として控除できます。

 

約1億4000万円しか儲かっていないのに、約5億7000万円もの所得税が課されるというのは酷な話です。

報道やネット情報によると、この被告人、本格的に予想ソフトを開発して継続的に営利を追求していたようですので、雑所得といえないでもない気がしますが、この件を雑所得とすると今後、一時所得との線引きの不明確さに問題を残しそうです。

裁判所は5月23日にどんな判決を出すのでしょうか。興味津々です。

 

ところで、宝くじの当選金は非課税なのに競馬の払戻金には課税されるということ自体、不思議な感じがします。

どちらも刑法で禁じられた賭博や富くじに該当するものを法律で例外的に正当行為としているものです。

国、地方自治体、独立行政法人の金儲けのための仕組みなのです。

競馬の収益が国庫を潤すことに鑑みれば、払戻金に課税するのは二重課税のような気もします。

 

とにかくBIGの当選金が6億円とか、競馬の払戻金が約30億1000万円だとか、何か遠い世界の出来事のようです。

逆進性に配慮せずに射幸心を煽り、不幸のどん底に引きずり込むこともある公営ギャンブルは、はたして健全な娯楽なのでしょうか?

(横井盛也)

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