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日弁連の弁護士不祥事対策に効果はあるのか?

事務所にFAXされてくる日弁連ニュースのNo.285に「弁護士不祥事対策の取組について」という記事が掲載されています。

それによると、日弁連は弁護士不祥事発生防止策を講じるべく鋭意取り組んでおり、2月15日の理事会では、全単位弁護士会に対して、①会内規定の整備(懲戒請求手続を迅速に行えるようにする規定等)、②制度の運用改善、強化(市民窓口担当者の研修の実施等)、③その他諸施策の検討・取組の着手(研修強化等)を要請したとのこと。

依頼者からの預り金を着服するという悪質な不祥事が続いたことから、非行の早期探知のため、弁護士会が弁護士の預り金口座について調査する権限を強化する方向で話を進めているようです。

 

小手先の改革や研修をすれば問題解決が図れると考えているようですが、問題の根はもっともっと深いところにあるような気がしてなりません。

 

破産法は破産手続開始によって破産者に懲罰的効果を及ぼすことを避けていますが、委任契約のように当事者間の高度の信頼関係を基礎とする契約は、一方が破産手続開始決定を受けることにより終了するものとされています(民法653条2号)。

また、各種の法令において政策的目的から破産者に関して様々な資格制限を設けています。弁護士(弁護士法7条5号)、公認会計士(会計士法4条4号)などの資格です。

弁護士が破産手続開始決定を受け未だ復権(破産法255条以下)していないときは、弁護士の資格を得ることはできませんし、また資格を得ている者は、その資格を失うことになっているのです。

他人の財産の管理に関与する職業として財産管理能力に問題がある者を排除する趣旨の規定とされています。

 

弁護士登録者数は、平成15年には約1万9500人でしたが平成24年11月末には約3万2000人と急激に増加しました。

訴訟等案件や弁護士に対するニーズが増えていないのに弁護士の数だけを無秩序に増やすこと自体が不祥事発生の温床です。

この点を根本的に改善しなければ、何らの解決にもならないように思います。

 

弁護士会は、莫大な借金を抱えて経済的に自立できない破産状態の者でも弁護士登録を認めるといった運用を行っているようです。

民法653条2号や弁護士法7条5号の趣旨を踏まえるのであれば、登録申込者に対して、破産状態にあるのか否か(資産と負債の関係)、報酬が得られる見込みがあるのか否か(事務所や企業等に就職できているのか否か)といった点を審査する必要があるはずです。

酷なことではありますが、民法653条2号や弁護士法7条5号の趣旨に反する場合には、弁護士登録を認めない厳格な運用を行うなど根本的なところから改めていかなければならないように思えるのです。

(横井盛也)

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