- 2013-01-25 (金) 19:07
- 横井弁護士
アルジェリアの人質事件で日本人10人を含む多くの人が犠牲になったというニュースは、我々の住む世界がまだまだ安全でないことを実感させるものでした。
最果ての地でプラント建設に尽力しながらテロの凶弾に倒れた人たちの無念さは察するに余りあります。
ところで、新聞を読み、テレビニュースを見ても、この事件について、どんな考えの集団が何を目的に起こしたものなのか、背景にはどんな意見の対立や問題があるのかなどがよく理解できません。
まだ、そのような評価をする段階ではないのかもしれませんが、伝えられるのは、何人の死亡が確認されたとか、遺族や知人が深い悲しみに包まれたとか、政府や会社が情報収集に追われているというといったことが中心です。
新聞記事の中に「内閣記者会は22日、政府に対して死亡した人の氏名と年齢を公表するよう文書で申し入れた」というものを見つけました。理由として「この事件に対する国民の関心は非常に高い」ということを挙げています。
マスコミが公表を迫る時に用いる「国民の関心が高い」という常套句にはいつも辟易とします。
「説明責任」だとか「知る権利」だとかいって、まるで自分たちが国民の代表にでもなったかのようです。
(私もかつて、そのような1人であったことを深く反省しています。)
この記事によると、政府は、犠牲者を出した企業「日揮」の要請を踏まえて、被害者の氏名を公表していないとのこと。
私が被害者でも公表はされたくはありませんし、今回犠牲になった人やその家族、関係者の多くも同じ思いなのではないでしょうか。
そして、国民の多くも決して犠牲者の名前や年齢を知りたいと考えてはいないと思います。
マスコミが犠牲者の氏名等を知り、報道することで権力の監視につながるとも思えません。
マスコミは、被害者を追い駆け回す過熱取材や怒涛のような過剰報道はやめて、事件の本質を淡々と伝える客観報道に方針転換すべきだと思います。
(横井盛也)
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