- 2013-01-11 (金) 10:43
- 横井弁護士
大阪弁護士会の弁護士は、年間10単位(=10時間)の研修を受けることが義務付けられています。
研修といっても講義を聴くだけで、出席すれば内容を理解しようがしまいが単位はもらえます。
ライブ講義のほかにビデオ講義も豊富に実施されており、空いた時間に様々な講義を聴くことができるので大した負担にはなりませんし、役立つ情報も得られます。
どの講義もしっかり準備されており、聴けばそれなりの効果は得られるはずです。
私も講師をしたことがありますが、2時間の講義のためには相当の準備が必要です。
でも、研修により能力が向上すると考えるのは断じて間違いです。
何十時間の講義を聴くことよりも、依頼者の話にしっかりと耳を傾け、相手の書面を読み込み、文献や判例を徹底的に調べて考え抜き、何度も推敲を重ねて書面を仕上げる実務の1件の方がよっぽど能力の向上につながるはずです。
研修は、あくまでも補完に過ぎません。
ところが大阪弁護士会は、研修によって弁護士の能力が飛躍的に向上すると考えているようです。
例えば、弁護士会のサラ金相談担当者になるためには関連する6単位を取得することが必須要件とされています。
例えば犯罪被害者支援の研修を受ければ、犯罪被害者支援精通弁護士として事件紹介名簿に登載されます。
さらには今後、裁判員裁判の国選弁護人の推薦人名簿への登載は、法廷でのプレゼンテーション能力を高めるための実演型研修を受講した者に限ることにしています。
実演型の研修を受ければプレゼン能力が向上すると考えているのでしょうが、2日程度の研修で飛躍的な能力の向上は不可能です。 (ただし、研修における評価に基づいて名簿登載の可否を判断するというのであれば、ある程度有効な方法だと思います。)
その分野に精通した弁護士を相談担当者にし、事件紹介名簿に登載するというのであれば、その分野の実務経験を基準にすべきだと思いますし、プレゼン能力の高い者を裁判員裁判の国選弁護人推薦名簿に登載したいのであれば、実際の法廷でのプレゼン能力を評価して決めるべきだと思います。
(横井盛也)
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