- 2013-01-08 (火) 9:54
- 横井弁護士
「証拠がないからどうせ裁判しても勝てませんよね」と控えめにおっしゃられる相談者がたくさんおられます。
確かにそのとおりかもしれません。
でも待ってください。証拠が揃っているなら裁判をするまでもありません。
決定的な証拠がないからこそ裁判になるのです。
日頃から何事につけ証拠化を心がけていればよいのですが、そんなことは不可能です。
ビジネスの世界でも、日常取引についての基本契約書を交わしていない、担保の設定をしていないといったケースをよく目にします。
「証拠がない」といっても、よく話を聞いてみると立派な証拠が存在する場合があります。
単なるメモ、メールの送受信記録、とりとめのないことを記した日記帳などなど。
探してもなければ、最後は尋問です。
民事訴訟は、双方の当事者のうち、どちらか一方が嘘をついているといったことがよくあります。
証言も立派な証拠です。
公平中立な裁判所にどちらが真実を語っているのかを判断してもらうのです。
でも、紛争が起こらないよう予防できれば、それに越したことはありません。
近年、交通事故の裁判において、ドライブレコーダーの存在により尋問もなく早期に裁判所から和解案が提示されるケースが増えてきました。
略してドラレコ。
車両に大きな衝撃が加わると、前後十数秒の前方映像、時刻、速度等を自動的に記録する優れものです。
DVD等にデータを落とし込みパソコンで再生すると事故の態様が一目瞭然です。
2012年4月、京都・祇園で18人の死傷者を出した暴走車事故の映像の衝撃をご記憶の方も多いと思います。
まだまだ普及率は低いようですが、普及すれば、双方ともが「青信号で交差点に進入した」と主張するような泥仕合は激減し、訴訟経済に大きく貢献することは間違いありません。
カーナビは標準装備化され急激に普及しました。次は、ドラレコの番だと思います。
(横井盛也)