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パチンコ依存症の社会問題

 

これまでに何件かパチンコに取り憑かれたことが原因で多重債務に陥った人の債務整理を受任したことがあります。

 

やればやるほど損をすることは頭の中ではわかっているのに、「少しでも取り返さなければ」とのめり込んでしまい、あげく依存状態から抜けられなくなってしまった、というのが共通パターンでした。

ホールに響く威勢のよい音楽、心地よい大当たりのアナウンス、出玉が溢れ出たときの震えるような快感。

現実社会の孤独や生活苦から解放されたその一瞬の再来を夢見て、なけなしの元手を手に、これまでの負けを少しでも取り戻そうとホールに通う。祈るような気持ちで、ハンドルを固定し、じっと座って台上を転がる玉を見つめ、時間を空費し、大金を浪費する。挙げ句、大きく人生を狂わされる、という具合です。

 

パチンコは、決して健全な娯楽でなく、悲劇的な結末に至る危険な賭博です。

近くで毎日営業しているのですから、アクセスの容易さは競馬や競輪の比ではありません。

そもそも金がないからパチンコで儲けようとして、さらに金がなくなるという悪循環。

消費税増税の際には必ずその逆進性が問題となりますが、パチンコの逆進性は消費税のそれどころではないはずです。

パチンコを全廃する必要がある――ずっとそんな思いを抱いていました。

 

 

先日、「パチンコに日本人は20年で540兆円を使った」(若宮健著・幻冬舎新書)を読んで溜飲が下がる思いがしました。著者の考えに全面的に賛成です。

韓国では全面禁止ができたのになぜ日本ではできないのか。パチンコ業界をめぐる政財官の癒着の構造、パチンコ番組やCMを垂れ流す堕落したマスコミの実態などパチンコの暗部を鋭くえぐった力作です。

「パチンコは世界一のカジノである。」

「パチンコ依存症はれっきとした病気である。」

「業界団体は警察の天下り指定席」

「日本には、パチンコの現実に向き合う真っ当な報道はないのか。」

「一般国民がパチンコを許容しているわけではない。」

「パチンコは全廃するしかない。」――。

多くの国民が考えていた正論を代弁してくれた書なのではないでしょうか。

できるだけ多くの人、特に政治家や警察官僚に読んでもらって、パチンコが賭博そのものであり、多くの国民の生活を破壊し、経済社会を歪めている実態を知ってもらいたいと思います。

 

また灼熱の夏がやってきました。

今年もまた、パチンコ店の駐車場で幼い命が消える悲劇が起きるのでしょうか。

(横井盛也)

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