- 2015-06-14 (日) 15:36
- 横井弁護士
≪平成26年に生まれた子どもの人数は100万3532人で過去最少。
合計特殊出生率は1.42と9年ぶりにマイナスに転落。≫
厚生労働省の人口動態統計(概数)の発表に憂慮の念を抱かずにはいられません。
昭和24年生まれが約270万人、昭和48年生まれが約210万人。それに対して、
平成26年生まれは約100万人。
余りに少なすぎます。
少子化の進展は、国力の減少に直結します。
将来ボディーブローのように効いてくる切実かつ現実の課題なのです。
一流企業総合職の20歳代の既婚女性Kさんは、大阪に単身赴任中です。
同様に籍は入っていないものの20歳代の女性Sさんも今は大阪で勤務。
2人とも週末に東京と大阪の間を往復しています。
新卒3年目の大阪の法律事務所女性事務員のOさんは、将来を約束したメガバング勤務の彼氏に会うためほぼ毎週のように九州まで旅をしています。
このほか、法科大学院を出て弁護士になったものの既に30歳直前。奨学金の多大な債務を抱えた上、覚えなければならない仕事も多く、結婚どころではない、といった女性を何人も知っています。
こんな酷な現実を放置していてよいのでしょうか。
女性にとって、結婚適齢期はなくとも出産適齢期は存在するのです。
組織を活性化させ、将来の幹部候補に様々な職場を経験させるということは企業にとってもその社員にとっても有益なことなのでしょう。
夢見る職業で成功するため、今を犠牲にして将来に託すことは崇高なことなのかもしれません。
でも、そのために失うものの大きさも考えるべきです。
若い労働力が減少することは、企業活動の活性化を妨げ、技術力やイノベーションの低下をもたらし、個人消費は減って経済規模は縮小し、日本の経済力が低下することにつながります。
このまま少子化が進めば、社会保障は破たんし、税収減から生活基盤の維持すら困難になる事態すら想定されるのです。
配慮に欠けた転勤命令、長時間労働、低賃金の非正規雇用、貧弱な子育て支援体制等々、問題は山積していますが、これらは自由競争市場に任せることで解消される問題ではありません。
利潤の極大化を目指す企業にとっては、若者の転勤をフリーハンドで命じることができれば、より最適な人事政策が可能となります。
多少の残業コストがかかってもそれ以上の利益が出るのであれば長時間働いてもらった方が得ですし、非公式な情報のやり取りなどもしやすくなります。
非正規雇用によって低賃金で済むのであれば、それを景気の調整弁として使おうとする動機が生じることは当然のことですし、利益に見合わない子育て支援体制にコストをかけるというインセンティブも生じません。
個々の企業や団体、地方自治体等の努力だけで解決できる問題ではありません。
国が本腰を入れて取り組むべき政治の課題だと思いますし、国民の間で議論を深めるべき問題なのだと思います。
(横井盛也)
にほんブログ村
↑↑↑ ポチっ。↑↑↑