- 2015-04-17 (金) 19:40
- 横井弁護士
大阪市を廃止するのか、存続するのか。
住民投票が5月17日に行われます。
大阪市民である私にとって他人事ではありません。
報道では賛否は拮抗しているとのこと。私の周りでも拮抗しています。
昨年9月にイギリスからの独立を問う住民投票を行ったスコットランド人のような心境なのです。
この住民投票。平成24年に成立した「大都市地域特別区設置法」に基づくもので法的拘束力を持つものとされています。
単に住民に意見を問う地方自治体条例に基づく住民投票とは違うのです。
過半数の賛成があれば、平成29年4月1日に大阪市は廃止となり、5つの特別区(北区・東区・南区・湾岸区・中央区)が設置されます。
法律の制定、そして住民投票の実施にまでこぎつけた橋下徹・大阪市長の手腕、実行力には敬服します。
並みの市長であれば、とっくに頓挫していたことでしょう。
愛する大阪市がなくなる、というのであれば、それはその時。覚悟はできています。
でも、都構想のメリットはデメリットより大きいのでしょうか。
全戸配布されている「特別区設置協定書について」という大阪市作成の40頁の説明パンフレットでは「二重行政の無駄」が強調されているのですが、的外れだと思います。
大阪市民としては、府と市が競い合うことで二重の行政サービスを享受しているのであって、そのメリットを捨てる必要はありません。
例えば、大阪府立大学と大阪市立大学が存在することが無駄なのでしょうか。
府立中央図書館と市立中央図書館、府立体育館と市立中央体育館、マイドーム大阪と産業創造館、ドーンセンターとクレオ大阪。
大阪市民にとっては、よく似た施設が2つあることは、デメリットというよりむしろメリットだと思うのです。
大阪府直轄の特別区になることで、何がどう変わるのかも今一つピンと来ません。
東京都の特別区民が大阪市民より暮らしやすさを実感しているのでしょうか。
特別区といっても単に5つの中規模の”市”に分裂するだけのことになりはしないか心配です。
5つの区割りは、いつの間にか出来上がっていたという感じで、最近まで自分が何区民になるのかさえ知りませんでした。
東京23区に対して、大阪5区なんてみじめ過ぎます。
大阪市は現在24区なのだから、24区にすべきです。
大阪都構想というなら、名称も大阪都とすべきです。
二重行政の弊害の解消は、府と市の協調を図る仕組みを作ることで可能なのではないでしょうか。
その方がずっとコストや労力は少なくて済むはずです。
これまで当然のように存在し、いささかの疑問も感じていなかった大阪市がなくなるのか否か。
心して投票しようと思います。
(横井盛也)
参考までに2012年12月2日の当ブログです
http://www.law-yokoi.com/blog/?p=454
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